中川 慧三井住友アセットマネジメント株式会社株式運用グループ クオンツ運用担当 Tokyo, Japan 略 歴
2012年京都大学経済学部卒。同年よりニッセイアセットマネジメント株式会社の運用リスク管理室にてファンドのリスク管理に携わり、のちに運用戦略部にてクオンツ運用チームを兼務する。2014年より三井住友アセットマネジメント株式会社の株式運用グループにてクオンツファンドマネージャーを務め、ファンド運用やモデル開発を行う(現在に至る)。 講演要旨モデル予見制御に基づく共和分ペアトレード戦略通常、株価の平均や分散は時間に依存して変化し、その予測は非常に困難です。対して、ペアトレードでよく使われる共和分ペアは定常過程であるので、平均や分散が時間に依らず一定となります。共和分ペアは平均と分散が一定値なので、平均・分散を使用し最適化を行ういわゆるポートフォリオ理論と相性が良いと考えられます。 |
そこで、個々のペアそれ自体を取引可能な1つの銘柄とみなし、それら複数ペアによる最適ポートフォリオの構築に取り組みます。 複数ペアを同時にポートフォリオとして運用することで分散効果が働き、より効率的な運用が期待できます。 さらにペアのポートフォリオの構築手法として、実務でも多用される通常の平均・分散アプローチの代わりに、制御理論の分野で使用されるモデル予見制御(Model Predictive Control)に基づく定式化を紹介します。これはリバランスのタイミングで、ペアの条件付き平均分散問題を所与の予測期間の下で繰り返し解くことに相当します。 そしてモデル予見制御に基づく最適ペアポートフォリオが日本の株式市場(TOPIX500)において年度を問わず、現実的な取引コストを考慮してもなお安定的な収益獲得が可能であることを実証します。 |