鈴木 智也, 理学博士
茨城大学工学部知能システム工学科 准教授
略 歴
新潟県新潟市生まれ。
2000年に東京理科大学理学部応用物理学科を卒業し、同年より東京理科大学大学院理学研究科物理学専攻に進学。
2002年に同大学院修士課程を修了し、2005年に同大学院博士課程を修了。
その後、東京電機大学工学部助手、同志社大学理工学部専任講師を経て、2009年より現職。
講演要旨
ニューラルネットワークの集団学習による価格変動パターンの自動検出および自信度の評価
近年のコンピュータ技術の発達および低価格化に伴い、ニューラルネットワークなどの機械学習ツールが身近になりつつあります。特にRやPythonなどフリーの開発環境の登場により、高度なプログラミング技術を持たなくても、手軽に最新の機械学習ツールを利用できます。機械学習の魅力は、膨大な価格データに隠れた規則的変動パターンを全自動で検出できる点です。過去の価格変動を手がかりにする点において伝統的なテクニカル分析と同じですが、コンピュータ技術を駆使する点においてモダンテクニカル分析と呼ぶ場合があります。
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しかし機械学習は万能ツールではありません。規則的変動パターンは過去の事柄なので、今後も持続するとは限りません。同様に過学習やローカルミニマムの問題など、機械学習には知っておくべき諸問題があります。またアルゴリズムが身近になるほど、恩恵は小さくなるでしょう。
本講演ではこういった諸問題を指摘し、トレーディングのために機械学習アルゴリズムを上手く活用するための工夫を紹介します。さらに私自身のアイデア[1,2]に基づいて、集団学習法というテクニックを混合することで、機械学習の「自信度」を測るテクニカル指標を紹介します。これにより自信度の高い銘柄に着目することで、テクニカル分析特有の「だまし」を軽減する方法を紹介します。
[参考文献]
[1] 鈴木智也, 林大賀: 決定論的非線形予測に基づいた時空間テクニカル分析, 電子情報通信学会論文誌A, Vol.J98-A, No.2, pp.237-246, 2015.
[2] T. Suzuki, Y. Ohkura: Modern Technical Analysis based on Nonlinear Bagging Predictors, Physica A, under review.
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